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翻訳の現場から


2018.11.06

風間先生の翻訳コラム

コラム第47回:流浪の自由人の狂詩曲

流浪の自由人の狂詩曲

2018年11月9日(金)全国ロードショー
配給:20世紀フォックス映画
©2018 Twentieth Century Fox

「ボヘミアン・ラプソディ」――フレディ・マーキュリーとクイーンの自伝映画と言えば、これ以上の説明は必要ないだろう。今回は特別に歌詞の訳出が許可され、必要な箇所には訳詞を載せている。フレディの心中と歌詞がうまくシンクロされる箇所もあるので、注目していただきたい。シンクロする歌詞の曲を見つけるのは大変だと思うが、本作はクイーンのヒット曲というくくりの中で見事に合致する曲を見つけてきた制作陣に拍手を送りたい。
 今回は作品の注釈のようなことを書いてみる。一切のネタバレが嫌だという方は鑑賞後に読んでください!
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・フレディが“クイーン”というバンド名を思いつき、ロゴをデザインする。それを見た恋人が「新しいバンド名はクイーンというの?」と訊くと、彼は「女王陛下の意味だ。規格外だろ」と答える。クイーンとは女王の意味だし、何を当たり前のことをと思わないだろうか。実はqueenにはオカマ(いい言葉ではないが、単に同性愛ではなく揶揄を含む)という意味がある。だから「そっちの意味ではなく女王陛下の意味だ」と言っているわけだ。さらに女王と名乗ること自体が不敬を通り越してとんでもないだろ、という意味で「規格外」と言っている。英国民は王室に対して尊敬と親愛と批判の混じった複雑な感情を抱いており、それが背景にあるのだ。
・フレディの口癖に“ダーリン”というのがある――普通は異性に対して言いますね。でも彼は男性に対しても使う。これは滅多にない。伝記「フレディ・マーキュリー 孤独な道化」によれば、彼は寄宿学校時代から“ダーリン”と呼びかける癖があったそうだ。字数制限のため限られた箇所しか訳出できず、口癖と気づかない方もいると思い、あえて書いた次第。
・コメディアンのマイク・マイヤーズがEMIの重役に扮し“ボヘミアン・ラプソディ”に文句を言う場面がある。実はマイヤーズは昔「ウェインズ・ワールド」というコメディで“ボヘミアン~”を使っているのだ。それを踏まえて本作の彼のあるセリフに注目してください。爆笑必至です!
・ヒット曲のひとつ“ウィ・ウィル・ロック・ユー”だが、作者のブライアン・メイによれば、コーラスのWe will rock youというのはチェコの子守歌にインスパイアされて作ったそうだ。親が子供に“お前を揺り動かして”眠らせてあげるという歌らしい。だが子守歌が優しく安心させていたのに対し、“ウィ・ウィル~”ではあのリズムとコーラス、さらにrock=ロックさせるという意味もあることから、「お前をロックさせてやる」「お前を揺り動かしてやる」――寝かせるのではなく、立ち上がらせるため、目覚めさせるために揺り動かすという応援歌に変わっている。
・ライヴ・エイドの本番直前、クイーンのスタッフが隙を見て“触るな”と書かれた機材のレバー(?)を上げる。これは音響のリミッターで、要は演奏の音量を上げたのだ。これは事実に基づいている。前述の伝記によれば、メンバーのロジャーが「うちの音量がどこよりも大きかった。スタジアムじゃ観客を圧倒しないと」と語っている。実際にスタッフが内緒で上げたそうだ。
・そのライヴ・エイドだが、最高の演奏をしたのはクイーンだった。急ごしらえの再結成や練習不足のバンドがいる中で、完璧に準備を整えていた。また各出演者のファンが集まるため、他のバンドの曲は受けない場合がある。渋い通好みの選曲はそのバンドのファンこそ喜んでも、その他大勢には退屈だ。その点でもクイーンは完璧だった。以下、前述伝記より主催者ボブ・ゲルドフの発言を載せる。「(彼らは)俺が説明したとおり、グローバル・ジュークボックスというコンセプトをつかんでいた。次々にヒット曲をぶちまけたんだ。信じられないくらいの出来だった」
 そのライヴ・エイドの圧巻のパフォーマンスが劇中で再現されている。間違いなく本作の見所のひとつだ。ぜひ劇場で体験してください!

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