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映像翻訳の現場から コラム第14回 「コトキの野郎にくれてやれ」

現在公開中の「スティーブ・ジョブズ」はアイザックソンの伝記が原作ではない。というか一応は原作なのだが、あの本を元にジョブズの栄光の軌跡を時系列に描いてはいない。原作に出てくる逸話や関係者は材料でしかない。それを使って、ジョブズというクソ野郎で、偏執的な完全主義者で、カリスマで、誰にもないビジョンを持った男を描こうとしているのだ。あれほど魅力的で嫌な男というのは物語のキャラクターとして稀有なのではないか。だから、実在したジョブズという男の逸話を集めて、そこから制作陣が新たに"スティーブ・ジョブズ"というキャラを作り上げた半フィクションと思っていいだろう。

脚本のアーロン・ソーキンは「ソーシャル・ネットワーク」で"彼のザッカーバーグ"を作ったが、それと同じ手法だと思えばいい。今回は3つの新作発表会だけを取り上げ、その舞台裏のドタバタを会話だけで描いていくという3幕物の舞台劇のような構成になっている。最後の方では「発表会の直前になると皆は本音を言うらしい」という自虐的なセリフまで出てくるのがおかしい。これに縦糸として彼の出自と娘が絡んでくるのだ。

だから、有名な逸話や関係者は視聴者が知っているという前提で会話が進んでいく。例えばMac発表会の直前で、ジョブズが怒って「雑誌(タイム誌)を全部コトキにくれてやれ」と言うセリフがある。この"コトキ"というのが何だか分からない人が多いのではないか。会社の名前か、地名か。正解は人名だ。しかし"コトキ"だからね。"スコット"だったら、理由は分からないがスコットという男に怒っているのだと見当がつく。でもコトキですよ!

予備知識のある人なら、コトキはジョブズの友人でアップル創設メンバーの1人だと知っている。彼がタイムの取材で、ジョブズに隠し子がいるかと訊かれ、いると正直に答えてジョブズの怒りを買ったエピソードは有名だ。結局、ここはクライアント側の提案で「コトキの野郎にくれてやれ」と直すことで、人名だと分からせることにした。

お勉強して映画を見に行くのなんて嫌だという人もいるだろうが、このセリフの洪水の奥にある物語をぜひ分かっていただきたい作品なのです。時には知識が理解を助けるということもあるしね。でも喋ってます。喋りまくり。通常120分前後の長い作品だと、多い場合で字幕は1400枚前後になることもある。しかし、この作品は2000枚を超えた。これは個人的には最高記録です。

 

執筆者:風間綾平

字幕翻訳家 大手制作会社のスタッフとして字幕演出に携わりながら1989年に字幕翻訳デビュー。 代表作は「少林サッカー」「ビートルズ・アンソロジー」「アンダーワールド」 「アース」「アドレナリン」 「スペル」「LOST」「イコライザー」「ナイトクローラー」「スティーブ・ジョブズ」「オデッセイ」など多数。 近年は、映像翻訳学校ワイズ・インフィニティにて講師を務め、後進の指導を行っている。

 

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