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映像翻訳の現場から コラム第29回「分裂した私」

全米で3週連続1位、シャマラン監督復活と言われているのが「スプリット」だ。女子高生3人が男に誘拐、監禁される。監禁先で女性の話し声を聞き、助けを求めたところ、入って来たのは女装した先の男だった。そして彼は23の人格を持つことが判明する。さらにもう1つの人格が存在するというのだが……

誘拐犯はいわゆる多重人格者だ。現在では解離性同一性障害と呼ぶ。多重人格者といえばスティーヴンソンの「ジキル博士とハイド氏」、ダニエル・キイスの「24人のビリー・ミリガン」など多くの著作がある。「ジキル博士」は何度も映画化されているが、サイレント期の「狂へる悪魔」では名優ジョン・バリモア(ドリュー・バリモアの祖父ですぞ)がワンカットで博士からハイド氏へ変身するのが有名だ。

本作で監禁犯を演じたジェームズ・マカヴォイも大熱演である。さすがに物語では24の人格すべてが登場するわけではないが、それでも相当数の人格を演じ分けている。役者から見れば演じがいのある役所だろう。配給会社の担当の方は本作をマカヴォイ劇場と呼んでいたが、まさに彼の独断場です。

しかしこれを訳し分けるとなると、なかなか大変だ。初稿時から人格の違いには留意して訳していたが、分かりにくいという声があり、よりキャラが区別できるように言葉遣いを強調した。これは予告編にも出てくるのでネタバレにはならないと思うが、主要人格の中に女性と子供がいる。2人は服装も明らかに違うし、喋り方や表情も一変するので区別しやすい。問題は残りの男性人格2人だ。1人はやや粗野、もう1人はファッション好きで、自分でデザイン画も描く。そこで前者は人称を「俺」とし、口調も乱暴にした。逆に後者はいわゆるオネエ風の喋りにし、違いを際立たせたのだ。

実際は、ファッション好きだからマッチョではないが、かといってオネエと断定はできない。喋り方は普通の男性より丁寧だが、そっちの志向かというと微妙だと思う。ただ、分かりやすさを優先し、いわゆるファッション業界男性の1つのタイプとしてオネエ風という言葉遣いを選択したわけだ――関係者の皆さん、気を悪くしたようなら他意はありませんから。もうひとつ、オネエ風=オーバーアクトというのが一応ありだと思わせる設定が劇中にある。これ以上は内容と関わるので詳しくは本編を見ていただきたい。

実は、本作は吹替も担当したが、吹替ではファッション好きの人格を極端なオネエ風にしていない。人格の違いは声優の演技力に託したのだ。これはマカヴォイの演技が劣っていたから伝わらないということではない。やはり微妙なニュアンスというのは外国語より母国語=日本語で話された方が伝わる。

字幕というのは元々分かりにくいと言われる。情報量が落ちているし、細かい語尾や喋りの癖などが出しにくい。字数制限で尻切れのセリフも出てくる。伝わらないと言われるのが一番痛いのです。分かりやすさと、セリフで言っている本来の情報やニュアンス、どちらを生かすかで字幕屋は常にせめぎ合っているのだ。

 

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5月12日(金)全国ロードショー

執筆者:風間綾平

字幕翻訳家 大手制作会社のスタッフとして字幕演出に携わりながら1989年に字幕翻訳デビュー。 代表作は「少林サッカー」「ビートルズ・アンソロジー」「アンダーワールド」 「アース」「アドレナリン」 「スペル」「LOST」「イコライザー」「ナイトクローラー」「スティーブ・ジョブズ」「オデッセイ」など多数。 近年は、映像翻訳学校ワイズ・インフィニティにて講師を務め、後進の指導を行っている。

 

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