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映像翻訳の現場から コラム第5回 「上か下か」

ドラマを訳していて困ることがよくある。auntやuncleが出てきた時だ。日本語だと自分の親の姉や兄だと「伯母」「伯父」となり、妹や弟だと「叔母」「叔父」と書く。使い分けがあるのだ。ところが、どちらか分からないことが多い。といって平仮名で「おばさん」「おじさん」とすれば赤の他人と間違われる。どうしても判断がつかない場合は、物語に影響がないことを確認した上で「伯母」なり「叔父」なり適当に字を選ぶことになる。

実は、翻訳を始めるまで伯母/叔母という使い分けがあることを知らなかった。僕には「おば」が4人いるが、「○○おばさん」と名前を呼ぶ時、頭の中で字を想像することはないし、ましてや使い分けなどしていない。誰でもそういうものだろうし、英語で関係性が明示されていなくても、それを責めるのは無理というものだろう。

しかし、もっと由々しき問題があるのです。それは兄弟姉妹の場合。たまにelder sisterとかyounger brotherと言う場合もあるのだが、それはまれ。大抵の場合、セリフではMy sister, Abigailだけしか言わない。これは困る。非常に困る。「アビゲイル」なんて名前は長い。字数制限で苦しむ字幕屋は「アビゲイルが言ってた」ではなく「姉(または妹)が言ってた」としたいのだ。また、字数制限を別にしても、身内を紹介する場面などは「兄のシドです」と言わせるのが自然な日本語だ。「兄弟のシドです」ではむむ、となる。

これが子供なら身長や見た目で推測できるが、成人となると判断がつかない。クライアントに頼んで本国に問い合わせてもらう場合もあるが、答えが返ってこないことも多い。そうなるとこちらで判断するしかない。よくやるのは演じる俳優の実年齢を調べて、年上が演じている方を姉なり兄にする方法だ。でも、以前、双子が出てきた時には困った。特撮で1人2役を演じていたから判断材料がないのだ。この時はクライアントから回答があったので事なきを得たが、毎回こううまくいくとはかぎらないですからね。どうしても判断がつかない時は雰囲気で決めてしまう。また、クライアントと相談して、やや不自然でも「兄弟のシドです」とすることもある。

兄弟姉妹の呼び方を通じて思うのは日本と欧米の考え方の違いだ。日本は関係性を重要視するのに対し、欧米は個人を重要視しているのではないだろうか。日本は身内が自分より上か下かという関係性に重きを置くから、兄/姉か弟/妹かを名前とともに言うのだ。対して欧米は他の誰でもない「アビゲイル」という唯一無二の個人としてまず名前を言う。自分との関係性でアビゲイルが身内=姉妹だという属性は示すが、アビゲイルが年上か年下かはとりあえず問題にしないということではないか。

翻訳を続けていると、言葉の違いだけでなく、風習や考え方、文化の違いなどに思いを馳せる時もある。それも翻訳の面白さのひとつなのです。

執筆者:風間綾平

字幕翻訳家 大手制作会社のスタッフとして字幕演出に携わりながら1989年に字幕翻訳デビュー。 代表作は「少林サッカー」「ビートルズ・アンソロジー」「アンダーワールド」 「アース」「アドレナリン」 「スペル」「LOST」「イコライザー」「ナイトクローラー」「スティーブ・ジョブズ」「オデッセイ」など多数。 近年は、映像翻訳学校ワイズ・インフィニティにて講師を務め、後進の指導を行っている。

 

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