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映像翻訳の現場から コラム第6回 「呼称から分かる関係性」

意味は間違っていないが、出来上がったセリフがどうにも翻訳調なことがある。まるで英語のテストの英文和訳のよう。それは日本語として自然ではないからだ。今はどう教えているのか知らないが、中学で初めて関係代名詞を習った時に「〜するところの」と訳例があって、はあ?っとなったのをよく覚えている。当時、まだ人生を12年しか生きていなかった僕だが「〜するところの」という文章は自分で使ったこともないし本で読んだこともない。そんな日本語を仮にも教科書に載せていいのかと怒りすら覚えたものだ。

もうひとつ注意したいのは代名詞だ。heとあるから自動的に「彼」では困る。日本語というのはそもそもあまり代名詞を使わない言語だ。「彼」といって不自然ではないのは恋人ぐらいのもの。それも今では「彼氏」(ここ、アクセントを後ろに置いて読んでください)と言うのかな。

自然な日本語の場合、彼ではなく「坂上さん」と名前で呼んだり「あの人」などと言うのではないだろうか。場合によっては「坂上」とか「あいつ」となるかもしれないし、仲がよければあだ名になったり下の名前で呼ぶことだってあるだろう。英語がheだから「彼」と訳すのではなく、状況を考えて言葉を選びたいものだ。

でも字幕翻訳はそうはいかない。例の字数制限というものがある。そこで俄然、「彼」のやつが息を吹き返してくる。何せたった1文字ですからね。女性なら「彼女」、複数なら「彼ら」で1文字増えるだけ。これは魅力的なのです。正直、字数制限のある字幕で代名詞を完全に排除するのは不可能だ。他に伝えなければいけない情報があれば、やや不自然でも「彼」として、余った字数をそちらに回すという判断もしなくてはいけない。

そんな時に便利なのが相手の肩書きである。例えば軍人だったら「彼」ではなく「大佐」とやれば違和感がなくなる。旦那のことを話しているのだったら「シルベスターが言ってましたの」ではなく「主人が言ってましたの」とすれば短くて済む――「スライ」と愛称を使う手もありますがね。「ミスター・ジャクソンはいらっしゃいますか?」はやめて「社長はいらっしゃいますか?」ならきれいにまとまるというものだ。これと「彼」を適度に混ぜればそれほど違和感のない字幕が作れるはずだ。

そして、ここから前回の続きになるのだが、日本語はやはり関係性というのを重要視する。だから相手の肩書きが何かを考え、肩書で呼ぶのだ。英語が肩書を排除するとは言わないし、軍隊のようにランクが重要な場合は肩書を呼ぶが、それでもプライベートな食事の席などでは相手を名前で呼ぶことが多い。日本なら年始の挨拶で自宅を訪れても「大佐殿」と言いそうだ。

何より顕著なのは一人称だろう。友達同士なら「俺」と言っても、会社の上司相手なら「私」と言うのが日本人。相手=関係性によって人称を変える。しかし英語なら常に"I"だ。相手が変わっても人称は変わらない。相手が誰であろうと私という存在は唯一無二、絶対不変の存在だという考え方があるのだろう――例によって、これはどちらがいいということではない。文化の違いなのです。

執筆者:風間綾平

字幕翻訳家 大手制作会社のスタッフとして字幕演出に携わりながら1989年に字幕翻訳デビュー。 代表作は「少林サッカー」「ビートルズ・アンソロジー」「アンダーワールド」 「アース」「アドレナリン」 「スペル」「LOST」「イコライザー」「ナイトクローラー」「スティーブ・ジョブズ」「オデッセイ」など多数。 近年は、映像翻訳学校ワイズ・インフィニティにて講師を務め、後進の指導を行っている。

 

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